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口笛カウンセリング(Q&A)
口笛奏法について、これまで実際にメール等で質問されたことを中心に、Q&A形式で書いてみました。 口笛を始めようとする方々の参考になればと思います。
しかし、口笛は体そのものを直接使うものなので、必ず個人差があり、それによって考え方も異なりますので、 あくまでも参考程度に留めた上で、基本的には自分にあった奏法を見つけていくというスタンスで読んでいただけたらと思います。

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Q 管楽器奏者と口笛奏者の口の中の様子を研究された論文があるようですが、おそらく管楽器、特に金管楽器と口笛の場合、 音の出し方がまるで違うと思います。金管楽器奏者が口笛の練習、演奏をした場合、 金管楽器演奏に悪影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。
A 確かに、音源としては、金管楽器では唇の振動ですので、口笛のような風切り音とは構造上違います。 しかし、論文を書いた方、及び私も含め、口笛も管楽器も口腔内は似ているという考えを持っています。 管楽器の奏者は木管、金管問わず、口笛をよく吹く人が多いように思います。 (少なくとも、私の知っている奏者では多かったです) 管楽器を吹くときには体に気柱をもっていることに代りはないからだと思います。 ですから、結論として悪影響どころか、逆に、いいことではないのでしょうか。 管楽器で違う楽器を吹くことはアンブシュアには良くないかもしれませんが(トランペット奏者がトロンボーンを吹くとか・・)、 口笛は上下唇の接触震動がないことから金管楽器同士の交換とは性質を異にするように思えます。
Q 口笛と言うのは、基本的に舌の位置で音程を取ったりしますので、タンギングは喉ですることになると思います。 ダブルタンギングと言うのは舌を使ってするものだと思うのですが、どのようにお使いなのでしょうか?
A タンギングについては、口笛奏者全てに係わる非常に重要な奏法の一つなので少し長くなります。 僕の知る限りではありますが、口笛タンギングには大きく3つが挙げられます。一つは(1)ノーマルタンギング、 もう一つは(2)ウォーブリングそして(3)スロートロックです。(完全に独断で名付けてます。)
(1)ノーマルタンギングは通常管楽器奏者が行っている方法から派生した物です。 管楽器でのダブルタンキングは「つくつく・・」という舌の動きですが、口笛の場合、舌は他の事で結構忙しい為、 おっしゃるように喉もよく使います。「喉」と「つ」それと「く」の3つを組み合わせて使うこととなります。 管楽器では、表現は難しいのですが、口腔内の動きはある程度緩和されて音となりますが、口笛の場合は非常に敏感です。 特にこの「つ」から「く」に移るとき、間の音程が入ってしまう・・。 ここが最も難しいところです。(この文章でイメージできるでしょうか?)
トリプルタンキングは「つくつつくつ・・」又は「つつくつつく・・」ですので、ダブルさえできればあまり問題はないと思います。 私はダブル(トリプル)タンキングをするときは、音程には特に注意しながらやっています。
二つ目の(2)ウォーブリングは別名トリル奏法とも呼ばれるもので、まず舌の先を口腔内で宙に浮かせたまま、 下の先端を下唇の上部に軽く触れて、また内側に引き込み、また下唇にあて・・・。 の繰り返しでイメージとしては「ヘラヘラ・・・・。」 といった感じが基本です。(但し、これから派生した舌の動かし方は、様々です。) これは、国内外を問わず比較的多くの奏者が採用しています。 ただ、これも、先と同じく音程のキープコントロールが一般的には難しいとされているようです。 (録音のスロー再生をすればよくわかります。)
次に(3)スロートロックですが、実は僕もこれについては未知の世界で、残念ながらここで多くを語ることはできません。 ただ、大まかなことを言えば、スロート即ち喉を一瞬「つまらせる」行為を連続的に繰り返すというものです。 「う、う、う、・・・・」という感じだそうです。しかし実際にこの技術を使っているA氏に聞いてもどうやっているのかなかなかイメージがわきません。 ただ、先の(1),(2)に比して一つ一つの音がきっちりと区分けできています。(A氏だからというのも大きいのかもしれません。) そして、特にスピードコントロールについて高度なテクニックが要求されるものです。
以上、タンギングの説明でした。管楽器の技術の中では、タンギングは相対的に技術が高くないため、それ程問題にはならないのですが、 (極めるとなると別ですが・・)口笛の場合は、非常に重要で且つ難しい技術だと思います。 しかし、未だその実態が不明な部分が多く、体系化が遅れている技術の一つであるというのが実情ですので、 これから更なる研究とトレーニングが必要となる分野だと考えます。
Q ビブラートも重要な演奏技法だと思うのですが、どのようにかければ良いのかよく分かりません。かけ方を教えていただきたいです。
A ビブラートについて。これはほとんど管楽器(木・金管共通で歌でも)とおなじです。 息を「ふうふうふう・・」と腹筋を使いながら揺らすのが基本です。 (ただ、楽器を揺らす等、簡便法はあって、これも十分OKですが、基本は腹筋です) しかし、最も注意すべきことは「波長は大きく、ゆったりと」ということです。口笛で波長の細かい(早い)のは、聴き辛いものです。 (通称、「ちりめんビブラート」と言います)以上簡単ですが、私なりの考えです。 管楽器でさえ、その奏法には細かいことまで行くと、数多い説のようなものがあって、なかなか絶対というものは少ないのですが、 大枠ではだいたいの流れがあるように思います。
Q 音域ですが、現在2オクターブくらいですがこれは練習次第で広がるものなのでしょうか? また、個人差もあると思いますが、広がるとしたらどの辺りまでなのでしょうか。
A これは、口笛奏者以外でも、殆どの楽器演奏者が最も関心の強い事柄の一つだと思います。 音域が広ければそれだけ、表現の幅が増えるからです。もちろん、音楽表現の真髄は音域以外のところにあると思ってます・・・。 しかし音域を広げたいという気持ちは、特に管楽器奏者にとっては、まぎれもない純粋な欲求でもあります。 ただ、これこそ一朝一夕に広がるものではなく、ある程度長い年月がかかることと思います。 そして自分に合った正しい練習によって広がっていくものと思います。 ただし、この練習法といっても特に口笛の場合は、一般的に確立したものはありません。 他の管楽器では例えば、トランペットでは、音域を広げる、クリニックのようなものはあるように聞いたことがあります(海外ですが・・)。 これはペダルトーン(その楽器の通常使用される最低音よりさらに低い音のこと)を鍛える・・というものだったように記憶してます (たぶんです・・・)。しかしいずれも特効薬的なものはないというのが、現状ではないでしょうか。 僕の場合は、中学ぐらいまでは、正直、口笛はほとんど鳴らない・・(唇をとんがらして息の音が出るだけ)という部類でした。 しかし、現在演奏での使用可能音域は3オクターブになりました。これも練習によって広がってきたといえます。 ここで重要なのは、「使用可能」ということで、 「その音だけを、 小さい音でちょっとならす程度」は自分では鳴っていないという認識を持っておくことです。 ただでさえ、音域を広げる練習方法が確立されてないのに、適当に自分で納得してしまっては、 変な練習の癖がついてしまう可能性があるように思います。自分に本当に合った練習を見つけることが大事と思います。 でもこれは、非常に難解な問題であり、文章ではなかなか表現できないものと言えます。 これに答えるにはこのホームページ上では限界がありますね。 これこそ実際に対面し、体感して初めて理解できるものかもわかりませんね。 そしてこのことは、楽器奏者の永遠の課題なのかもしれません。
Q 「口笛は歌」という考えもあるようですが、私は「楽器」すなわち管楽器の一つだと思いますが、どちらなのですか。
A 絶対的見解はないと思います。音楽を奏でるということから、どちらも区別する必要はないかもしれません。 物理的には身体そのもののみを使うという点からは歌なのでしょうが、声帯を使わないという点からは楽器といえるでしょう。 歌では一般に女性はコロラトゥーラ,ソプラノ,アルト、男性はテノール,バス(ボーイソプラノ等例外はありますが・・・。)と区分されますが、 これは音符自体が違うので当然のことです。しかし一方、楽器は男女の住み分けは基本的にありません。 (楽器での男女の音質の差はあるかもしれませんが、音域は同じなので区分する理由はありません。) 呼吸法やビブラートは歌との共通点でもあるといえますが、タンギング,スケールコントロール等、 口笛にとってクリアしなければならない最重要事項はむしろ管楽器の奏法と重なります。 ですから、口笛奏法を学ぶ上では「sing」というより「play」と考えたほうが合理的でしょう。
Q 音量がどうしても出ません。実際に私の口笛を聞いた人から「蚊の鳴くような音。」と言われます。 どうしたら大きい音が出るようになるのでしょうか。
A 大きな音量が出ると言うことは、音楽表現に幅を持たせることができ、非常に重要なことでしょう。 しかし、ただ大きければいいというものではありません。ここでいう「音量」=「楽器をどれだけ響かせているか」ということです。 一流オーケストラと言われる演奏を生で聴くとよくわかりますが、やはり「音が大きい」と感じます。 「やかましい」のではなく「響かせている」のです。楽器の本質的なことですので本当に難しいことですね。 ただ、「蚊の鳴くような・・・」というのは口笛が楽器として響いていないのだろうと推測されます。 絶対に音量も必要です。あなたの場合はまず、息を十分に出すことが必要かもしれません。 楽器が響けばピアニシモでも大きく聴こえるものなのです。

この他、音質や音量など口笛演奏にあたっての重要事項はいくらでもあります。適宜更新していきたいと思っております。 奏法に関することについてご質問のある方、情報のある方は直接メールをいただけたら嬉しいです。
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